うつ改善 ライティングのすすめ

メンタルヘルス

 今回は私のうつ病を改善へと導いたメンタルケアとしてのライティングについて紹介したいと思います。
 うつ病と診断された私は抗うつ薬といった薬物療法を受けていましたが、あまり効果が出ませんでした。
 そんな中はじめたライティング、要は今の自分の気持ちや考えを書き出す思考整理法なんですが、それを始めて明らかにうつ状態から回復していったようです。
 基本的なやり方と発展的なやり方について紹介します。

ライティングの効果

 ライティングについて、参考図書の方では「ジャーナリング」「エクスプレッシブライティング」として紹介されていますが、思ったことを紙に書くという思考整理法を総称して「ライティング」とさせてもらいます。

 ライティングの効果としては、さまざまな実験で明らかになっており、ライティングを一定期間行ったグループとそうでないグループで比較実験した結果として、ライティングを行ったグループが行っていないグループよりも明らかに、
 ・幸福感が高まり、ネガティブ感情が減った
 ・数週間から数ヶ月でうつや不安が改善した
 ・認知機能が改善した
 ・体調・血行が良くなり、学業成績が上がった
といった結果が見られたそうです。

 この理由は、書くということで頭の中にあるもやもやとした形のない悩み・ストレスが形となり、それを棚卸しできる(頭の外に出せる)ことで、脳が複数のストレスに対応していた状況(マルチタスク状況)から解放され、脳機能を健全な状態で維持できるからと言われています。

基本のライティング

 基本的なライティングの方法として、考えていることをただひたすら書くということになります。
 ただ思いついたままに自由に書いてもいいし、あらかじめお題を決めておくのもいいです。
 体験したネガティブな経験に対して、その時の感情や思考を書き出すのもおすすめです。
 書いた内容は、誰に見せるわけでもなく、書いた紙は破り捨ててしまっても構わないので自分の心を包み隠さず書いてみてください(とは言え書いた内容を誰かに見られないか落ち着かない気持ちになることもあります)。

 ライティングに取り組むと普段気づいていなかった自分の本音、葛藤に気づいてきます。本当にしたいことや悩みが発生している思考回路がわかってきます。

 ―お題の例ー
  ・今、感じているのは?
  ・何にやる気を感じるか?
  ・やってみたいことはなにか?
  ・私の心を傷つけているのはなんだろう?
  ・こうだったらいいな
  ・私の長所は?私の短所は?

 参考図書によっては1日20分を続けることが効果的ということですが、実際毎日20分書くというのはなかなか大変で、子育て中の私にはゆっくり時間を確保することができません。
 実際やってみると、数分、なんだったら一言でも心が軽くなるような効果は感じられるので、ハードルを低く設定して始めてみてください。

発展的なライティング

 基本的なライティングに慣れてきたら以下のように発展させていくといいです。

〇悩みやストレスの内容を展開する
 悩みやストレスの内容についてその影響や過去・未来とどうつながっているか考えてみる。
 ・この失敗は周りの人(家族や友人、同僚)にどういった影響を与えるだろうか。
 ・この失敗は自分の過去とどうつながっていて、未来にはどうつながるだろうか。
 悩みやストレスがどう人生に影響するかを考えることで、自分の感情をより深く知ることができ、悩みやストレスを客観的に捉えやすくなるそうです。 

〇ネガティブな体験を一般化する
 ネガティブな体験を誰にでも、あるあるな体験として捉える思考転換をする。
 ・テストで悪い点を取って辛かった
  →誰でもテストで悪い点を取って辛い気持ちを味あうことがある
 ・職場の生意気な後輩にイライラする
  →誰でも生意気なやつにはイライラすることある
 ネガティブ体験を一般化できると、ストレスが不快でなくなるそうです。

〇死について考える内容を書いてみる
 死にまつわる内容を書いてみる
 ・いま自分が死んだら家族はどうなる?
 ・もうすぐ死ぬとしたらどうするだろうか?
 死について考えると人生の希少価値が増し、自分を大事にする気持ちが大きくなったり、本当にやりたいことなどが明確になります。
 ただ、死について考えることで辛い気持ちになることもあります。メンタル状態に注意して取り組んでください。

〇認知のゆがみの矯正をしてみる
 ライティングに取り組む中で自分の考え方のくせがだんだんわかってきます。
 その中でストレスの原因が物事の捉え方(認知)が極端に偏りすぎているといった認知のゆがみに気づくこともあります。
 私も他人、外的評価にとらわれ過ぎる傾向があるということで、
「他人は他人、自分は自分」
「嫌われてもいいや」
 といった言葉を繰り返しライティングし、外的評価にとらわれ過ぎないような認知の矯正するようにしています。
 私がうつ症状から大きく改善したのは、こうした認知のゆがみの矯正が少しできたからだと思います。

ライティングにおすすめのノート

 基本的なライティングのところでもお話ししましたが、ライティングに取り組みたいけど子育てなどで家庭では落ち着いた時間が取れないということがよくあります。
 そんな中で私がおすすめするのが隙間時間でもライティングしやすいノートです。
 私は子育てでとてもゆっくり座ってライティングする時間がとれない(椅子に座って書いていると子ども達に邪魔される)ので、立ってからやトイレで書きやすいノートとして、「コクヨ リングノート キャンパス ワイド B5 A罫70枚 ス-T30A-B」をおすすめします。

 表紙・裏紙が硬い画板となっているので、立っての筆記やトイレに座っての筆記をストレスなく行えます。

<参考図書>
サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法/チャディー・メン・タン 他2名


超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド/鈴木 祐

図解 認知のゆがみを直せば心がラクになる (扶桑社ムック) 福井 至 他1名

<イラスト>
Loose Drawing

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