本の整理をしている中で昔読んでいた「嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え/岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)」「幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII/岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)」に目が留まり、改めて読んでみました。
一時期テレビなんかでよく聞くことがあったアドラーという心理学者の考えがわかる本です。
読んでみたところHSP対策としてのマインドセットにいいのではと思いましたので、その考えを紹介するとともに、私なりの整理をしてみました。
アドラー心理学とは
アドラーはオーストリアの医学博士、心理療法士、アドラー心理学で、心理学の世界では、フロイト、ユングと並ぶ3大巨匠と呼ばれているそうですが、その考え方として「すべての悩みの原因は対人関係にある」といったことを唱えています。
本の中では、思考実験的にこの世界に自分しかいないと仮定すると全ての悩みから解き放たれることに気づくということをはじめ、人間関係から生じる生きづらさから解放されるための実践的なノウハウが紹介されていました。
生きづらさにつながる対人関係とは
生きづらさにつながる対人関係として以下の3つが提唱されています。
①承認欲求をベースとした対人関係
他人から承認されることを基準とした対人関係では、他人の奴隷となってしまう、自分らしさからほど遠い生き方であるという考え。
→他人の評価に捉われない、嫌われてもいいやといった思考が大事
②競争意識をベースに対人関係を捉える
常に他人と自分を比較した考えのもとに築く人間関係。他人を敵と見なしてしまい、他人より上にいるような感覚でいれたら安心、下にいると思ったら不安といったように常に落ち着かない精神状態となってしまう。
→人生を通して勝ち続けるのは不可能であるため、理想の自分を追い求める健全な向上心を育むのが大事
③他者と自分の課題を混合してしまっている人間関係
本来、他人がどう考えるか、他人が自分をどう評価するかは、最終的には相手次第でどうすることもできないはずなのに、それをどうにかしようと思っているような人間関係。
→他人の最終的な決定は最終的にどうすることも出来ないから気にするべきではない
健全な人間関係を築くには
前節のアドラーが唱える生きづらさにつながる人間関係を不健全な人間関係として、健全な人関関係の築き方としては以下のとおりになります。私なりの解釈を交えて紹介します。
①承認欲求と競争意識は捨て理想の自分との対話に没頭する
自分対理想の自分との比較、1対1の対話に意識を向ける。
他人との比較から生まれる目標設定でなく、自分がどうありたいのかといった理想と比較した時に生まれる健全な劣等感をもとにした向上心が大事だそうです。
自分軸での目標理想って結構難しいよなと思ったのですが、目標とか理想ってどうしても他人と比較したりで決めてしまうと思います。
他人との比較を抜きにした理想、目標と考えた時に私が思ったのは、「こういった状況の時こう出来るようになりたい」といったような、ある状況に置かれた時にどう対処できるかといったことは自分軸での理想・目標かなと思いました。
よくアスリートが「自分の敵は自分です」とか「自分に勝つことができました」と言っているのが、自分軸での目標設定が出来ているのの一つかなと思いました。
私自身も試合で「キツい時に出てくる内の自分に勝てるか」といったところを目標にしています。他人を気にしすぎないで内との自分と対話している感覚です。なんかそういった気持ちで走らないとキツくなった時に「なんのために走っているんだろう」って気持ちになります。
あと、宇宙兄弟という漫画でもじゃもじゃ頭の主人公が「夢の邪魔をしてるのは自分自身でした」みないたことを言っていたのを思い出しました(漫画の内容はよくわかりません、すみません)。
②自分と他人の課題の分離の徹底
自分と他人の課題を徹底することが大事ということですが、「嫌われてもいいや。どうせ自分にはどうすることも出来ないんだから。」というマインドセット(考え方の癖)養うことかなと思いました。
要は自分は自分、他人は他人といったところでしょうか。
確かにこういった考えで気持ちは楽になります。HSPの私たちにとっては他人と自分を分離する、境界線を設けることが大事になってくるので、こういった考え方を浸透させるのは必要なことと思います。
あと、必要以上に相手をコントロールしようとしないことも提唱されていました。
私が最近思うのが、子どもにイライラすることの大きな原因が子どもをコントロールしたいという考えが大きいからだということです。
最終的に子どもがどうするかは子どもの課題...とはいえ、悪いことはして欲しくないし、規則正しい生活はして欲しいし、どうすればいいのでしょうか?
③仲間に対する貢献感をもつ
他者への貢献感が幸福感を生み出すということで、貢献感を育むことが大切なようです。
前節の不健全な人間関係からは他者への貢献感は得られないというそうです。
他者に貢献している感覚、他人と健全に結びついている感覚、それが共同体感覚というそうです。
承認欲求や競争意識を無しにした貢献って。偽善との戦い?相手への期待を持たずに何かを施すこと?
なかなか、ここへ至るには難しいように思いますが、上記2つを徹底することから始めようと思いました。
おわりに
アドラー心理学、というかアドラーさんの哲学というか、それに触れてなるほどと思うことは多かったです。
今回紹介した内容の他に、無条件に相手を受け入れること(他者を愛すること)で共同体感覚が高まることや、目的論の考え方(究極的に人は何かの目的から物事を意味付けしているといったような考え方)からトラウマは存在しないといったこと、誰でも「優越性の追求」を持ってるといったこと等もありましたが、私の中で消化しきれない部分も多くありました。
昔アドラーの考えについて勉強していた時に、全てを受け入れるとなると、なんのために自分は走ることに没頭しているのだろうとか、なかなか今の自分がダメだなと思えてくるような状態になりました。仲間に対する貢献感といったところでしょうか、共同体感覚を育めていない自分に対して自己嫌悪してしまいました。走りに没頭することがすごくエゴに感じました。
どんな思想についてもそうですが、完璧にその思想に対して忠実になる必要はないと思います。アドラーさんという一人の先人の考えとして、受け入れたいと思うところは受け入れ、ちょっと自分の考えとは合わないかなといったところは、それでいいと思います。
<参考図書>
「嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え/岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)」
「幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII/岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)」